
むかし、ある男がロバを飼っていました。
ロバは何年も疲れを知らずに働きましたが、
年老いて力がなくなり、
仕事に適さなくなりました。
そこで主人は
「もうエサをやらなくてもいい。」
と考え始めたため、
ロバはそれと察し、
ブレーメンへ向かう道へ逃げ出しました。
ロバは
「ブレーメンへ行けば、
きっと町の音楽家になれるぞ!」
と考えました。
しばらく行くと、
猟犬が道に寝そべっていました。
「どうしたんだ、そんなに息切れして?」
とロバが聞くと、猟犬は言いました。
「おれは年を取って体が弱り、もう狩りができないんで、主人に殺されそうになったんだ。
だから逃げてきたんだが、これからどうやって食っていったらいいか…。」
ロバは言いました。
「おれと一緒に行こうじゃないか。おれはリュートを弾くから、きみはティンパニを叩くといい。」
さらに行くと、ネコが座っていました。
「どうしたんだ、そんなに顔色が悪いのは?」
とロバが聞くと、ネコは言いました。
「年寄りで歯もきかなくなり、ネズミを追うよりストーブのそばでゴロゴロしたいんだ。
そしたら女主人に川で溺れさせられそうになって、逃げてきたんだが、これからどうしたらいいかわからない…。」
ロバは誘いました。
「おれたちと一緒にブレーメンへ行こう。
おまえさんは夜の音楽がお得意だから、町の音楽隊に雇ってもらえるよ。」
そして、
一行は戸口にいたオンドリに出会います。
オンドリは鳴き叫んでいました。
「今日は聖母様の日なのに、明日日曜にお客が来るからって、うちの奥さんが無慈悲にも、僕をスープに入れて食べるつもりだとコックに言ったんだ。
だから、まだできる間に鳴いているのさ。」
ロバは言いました。
「殺されるくらいなら、どこへ行ったってましなことはあるさ。
きみはいい声だぜ。
おれたちが一緒に音楽をやりゃ、たいしたもんだぜ。」
オンドリも賛成し、
4匹は連れ立って進みました。
夜になり、4匹は森の中の家を見つけました。
オンドリが窓から覗き見ると、そこは泥棒たちの隠れ家で、ごちそうが並んでいます。
動物たちは、あの家を乗っ取ろうと
計画しました。
ロバが窓の下に立ち、イヌがその上に乗り、
ネコがその上に、オンドリがネコの上に
飛び乗りました。
そして一斉に、それぞれの得意な音で鳴き叫びながら、窓を突き破って部屋の中に飛び込みました。
泥棒たちは、その恐ろしい形相と叫び声に仰天し、「化け物が来た!」と叫び、森の奥へ逃げ出しました。
4匹はごちそうを平らげ、明かりを消して、それぞれ寝心地のいい場所で眠りました。
真夜中、様子を探りに戻った泥棒の一人が暗闇の家に入ると、ネコの光る目を火だと思いマッチを擦ろうとした瞬間、ネコは引っかき、イヌは噛みつき、ロバは蹴り、オンドリは鳴き叫びました。
泥棒は必死で逃げ回り、頭に報告しました。
「恐ろしい化け物がいたぞ!魔女が長い爪でひっかき、ナイフを持った男が足を刺し、黒い怪物が棍棒で殴り、屋根の上の裁判官が『悪者を連れて来い』と怒鳴っていた!」
泥棒たちは二度と家に戻ることはありませんでした。
そして、4匹の動物たちは、その家が気に入り、ブレーメンへは行かずに、そこで仲良く暮らしました。